FC2ブログ

Entries

新型インフルエンザと次世代ワクチン~痛くないワクチンができる~

新型インフルエンザと次世代ワクチン
~痛くないワクチンができる~

長谷川秀樹氏
(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第六室室長)
 昨年4月に突如メキシコで発生し、瞬く間に世界中にまん延した、新型インフルエンザ。
本校でも新型インフルエンザの影響で記念祭・九月祭の前後に、学級閉鎖・学年閉鎖がありました。このように、猛威をふるった新型インフルエンザや、たびたび問題になる新興・再興感染症(新しく発見された、もしくは再び猛威をふるうようになった感染症)ついて、国立感染症研究所の長谷川秀樹先生に詳しく語って頂きます。

長谷川 秀樹(はせがわ ひでき)さん
1993年 北海道大学医学部卒業
1993年 北海道大学大学院医学研究科入学
1995年 米国ロックフェラー大学博士研究員
1997年 北海道大学大学院医学研究科博士課程修了
(病理学・医学博士)
1997年 国立感染症研究所感染病理部研究員
2009年 国立感染症研究所
インフルエンザウイルス研究センター第6室室長

●現在のワクチンの問題点と新型ワクチン
 
現在広く使われている注射型のワクチンは、長谷川先生によると、感染は防げず、重症化を防ぐものとのことです。しかし、「いや自分は、毎年ワクチンをちゃんと打っていて、発症しないけど?」という人もいるかもしれません。しかし、感染とは発症の有無に関わらず、病原体(ここでは、インフルエンザウイルス)が体内に入ること自体をさす言葉なのです。従来型の注射ワクチンでは、本来の意味での『感染』を防ぐことができません。また、感染源である病原体が、突然変異を起こした場合、全く効かなくなってしまうのです。
しかし、長谷川先生たちが現在研究されているワクチン(経鼻ワクチン)は、鼻にひと吹きするだけで『感染』を防ぐことができ、たとえ突然変異が起きたとしてもある程度は対応できる、まさに『優れもの』なのです。しかし、このワクチンは「低年齢層の人は2度使って慣れさせないと、効果がない」という問題点も抱えています。ですが、従来のワクチン接種に比べ注射の痛さがない分、さほど大きな問題ではないのかもしれません。

●インフルエンザウイルスの特徴
 
インフルエンザウイルスの特徴として、絶えず小さな変異を繰り返しているという点が挙げられます。毎年インフルエンザのワクチンを打たなければならないのはこのためです。また、時折異なる遺伝子を持つ2つのウイルスが、同じ細胞に感染し、全く新しい遺伝子を持つウイルスに変化してしまう(遺伝子再集合)こともあります。このようなウイルスは抗体を持っている人が少ないため、今回の新型インフルエンザのような大流行を起こす可能性が非常に高いのです。
また、仮に水際対策をしても、動物、特にインフルエンザウイルスの全ての型に感染する可能性のあるカモは発症しないので、その移動に伴って世界中に広まることもあり得ます。数年前に流行した鳥インフルエンザH5N1型はこのようにして中東やヨーロッパまで運ばれた可能性が高いとのことです。また、鳥インフルエンザウイルスは当初毒性のないものだったのが、家鶏に感染するころには弱毒性に、そして鶏同士で感染していく中で、強毒性へと変異し、これがヒトへ感染し、重篤な症状をもたらす可能性もあります。
今回の新型インフルエンザウイルスは豚由来であることからも分かるように、豚も鶏と同じく、人へ感染させやすい動物であることが知られています。そのため、豚や鶏と人が共生している地域(養豚場や養鶏場などが多い地域)では、新型ウイルスが生まれる危険性が高いとのことです。


●新型インフルエンザの特徴と対策
 
今回の新型インフルエンザの特徴の一つに、インフルエンザウイルス自体が肺炎を引き起こすという点が挙げられます。従来のAソ連H1N1型でも肺炎を引き起こすことがありましたが、これはインフルエンザを発症した際に、抵抗力が弱まった際に肺炎球菌が肺に侵入することで引き起こされていました。本来インフルエンザウイルス自体が肺炎を引き起こすこと自体は稀であり、今回のような事態は珍しいのです。このように感染が心配になる新型インフルエンザの一番の対策としては、発症した人がマスクを着用することだとのことです。長谷川先生のお話によると、感染しないためのマスクよりも感染させないためのマスクのほうが効果はあるらしいです。なぜなら、インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみであり、この対策をするだけでかなりの効果があるからです。なお、発症していなければ他の人に感染させてしまう可能性は低く、マスクを着用しなくてもまず大丈夫、と言っておられました。

●人間の活動と感染症

新型インフルエンザについて、流行当初、昔流行したものと似ているのではないかという話を聞いた人も多くいると思います。長谷川先生は、第一次世界大戦中に流行したスペイン風邪H1N1型に似ているので、1917年以前に生まれた人には抗体があるだろうとおっしゃっていました。このスペイン風邪が世界中で大流行した理由は第一次世界大戦に出陣した兵士が感染し、自国に戻った際に広まってしまったと言われています。
この講座のもう一つのテーマである新興・再興感染症も人為的理由、例えばジャングルの開発などが原因で、人との接触がなかったウイルスや細菌に人が接触するようになったからだと先生はおっしゃっておられました。

 先生には新型ワクチンをはじめ、様々な最新の事を教えていただきました。もっと詳しく知りたいという人は、是非聞きに来てください!!                   

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

お知らせ

プロフィール

サタデープログラム実行委員会

サタデープログラム実行委員会
サタデープログラムは東海高校・中学校にて、愛知県及び名古屋市の後援の下、私学助成金によって運営されている土曜市民公開講座です。
このブログでは、実行委員の活動の様子をブログ担当がお届けするほか、実行委員長による記事(通称“ぼやき”)を掲載します。
その他にもサタデープログラムに関する様々な情報を掲載致します。

FC2カウンター

ブログ内検索