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【44thサタプロニュース】#2 藤田直哉

藤田直哉

<プロフィール>
批評家・日本映画大学准教授
1983年札幌生まれ。SF・文芸評論家。
東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。

著書に『ゲームが教える世界の論点』(集英社新書)、『新海誠論』、『攻殻機動隊論』、『シン・ゴジラ論』(作品社)、『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)、『シン・エヴァンゲリオン論』(河出書房新書)など多数。朝日新聞に「藤田直哉のネット方面見聞録」掲載中。

あなたは本当に映画を「見て」いるのか?
突然ですが、皆さんは映画を見るときどのように見ていますか?

映画の楽しみ方は十人十色で実に多様な楽しみ方があります。

例えば、映画にはそれぞれとても緻密に作りこまれたストーリーがあり、その物語自体をじっくりと味わって楽しむという見方があります。
はたまた画面の構図や生き生きとした色彩を持ったグラフィックなど、映像美を楽しむ見方もあります。

このように映画はただ見るだけでも面白く、私たちを楽しませてくれるものです。

しかし、映画監督たちが、映画に観客や社会へのメッセージを含めているという意識を持って見たことはあるでしょうか?

わが東海中学・高等学校でも人気の高い、新海誠監督の作品『天気の子』を例に見ていきましょう。

『天気の子』は単なる恋愛映画ではない
2019年に公開された『天気の子』は、新海誠監督のいわずと知れた代表作の一つです。

皆さんはこの映画を見てどう思いましたか?
新海誠監督のその独特の世界観や、主人公とヒロインの心情の移り変わりを描いたストーリー構成、とても美麗なアニメーションなど、本作の持つ数々の魅力に惹かれた方も多いのではないかと思います。

ところで、この作品はいわゆる「恋愛モノ」とみなされることが日本では多いですし、これをお読みになっている皆さんの中にも、新海作品は単なる少年少女の恋愛を描く映画だという印象を持っている方は多いのではないでしょうか。

しかし、国際連合広報センターのブログに掲載された新海誠監督本人のインタビューで、本作は「気候変動」と「貧困」を描いた作品だと明確に述べています。

実際、雨が降り続けているという設定や、主人公たちを取り巻く経済的な環境はそれらを明らかに反映しています。では、なぜ多くの観客はこれに気付くことができないのでしょう?

ここでは、気候変動について論じてみましょう。

新海誠監督は「日本は温暖化が顕著になる以前から自然災害が多かったので、環境の変化に過剰適応してしまっている」という発言をし、様々な災害に遭い続けてきた我々日本人の、伝統的な心の習慣に問題意識を向けています。

つまり、この映画の設定が実は私たちに身近なものであり、知らず知らずのうちに見慣れてしまっているから気が付かないのだということです。

この問題について、本講座の講師である批評家の藤田直哉さんは、著書『新海誠論』の中で、「自然は「神」であり、逆らっても仕方ないもの、諦めて受け入れてしまうしかないものとして、日本列島で生きる者の心性が形成されており、それが気候変動などの問題を意識から消している」のだと解釈しています。

新海誠監督作品に限らず、ほとんどすべての映画は、気づきやすさに違いはありますが、制作者からのメッセージを含んでいます。
たとえば『エヴァンゲリオン』には、「オタクは現実に帰れ」という庵野秀明監督からのメッセージを含んでいますが、新劇場版と旧劇場版でその伝え方に大きな違いがあり、評論家の間で話題になったという話があります。

このサタプロニュースを読んで、映画に込められたメッセージに興味が出たという人は、この講座を受ける前に左上の画像にある藤田直哉さんの著書『新海誠論』や、『シン・エヴァンゲリオン論』を読んでいただくと、よりこの講座を楽しんでいただけるかと思います。

当日は『すずめの戸締まり』を中心に掘り下げていきます
本講座は、映画のメッセージ性を軸に、『すずめの戸締まり』など近年のヒット作品を、講師の藤田直哉さんと本校映画研究部員との対談を交えながら深掘りしていきます。

皆さんの映画の見方をワンランクアップします! 会場からの質問や発言も歓迎です。たくさんのご参加お待ちしております!!


東海高等学校・中学校サタデープログラム実行委員会 
サタデープログラム44thは2024年2月24日(土)開催予定!

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サタデープログラムは東海高校・中学校にて、愛知県及び名古屋市の後援の下、私学助成金によって運営されている土曜市民公開講座です。
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その他にもサタデープログラムに関する様々な情報を掲載致します。

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