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ネムリユスリカ ~水で戻せばミイラも復活!?「乾燥休眠」とは・・・~

ネムリユスリカ
~水で戻せばミイラも復活!?「乾燥休眠」とは・・・~
講師 奥田隆先生
(農業生物資源研究所 乾燥耐性研究ユニット ユニット長)


おくだ たかし さん
1956年 名古屋市生まれ。
1981年 岐阜大学大学院農学研究科修了。 
1984年 チェコスロバキア科学アカデミーで博士号取得
1989年 農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所入所
2001年 改組により独立行政法人農業生物資源研究所研 究員 
2006年 独立行政法人農業生物資源研究所 乾燥耐性研究ユニット ユニット長

専門分野:昆虫生理学

研究のきっかけとは
 
 奥田先生は幼少時、名古屋に住んでおられ、当時は虫取りをしていたそうです。そこで、「どうやったらこの虫を捕まえられるか」と考えながら昆虫の生態を観察し、独自の方法で人より多く捕まえていたんだとか。そういったことが、現在の自分の研究に繋がったのではないかとおっしゃっています。


ネムリユスリカって?

 ユスリカは蚊に似ていますが、蚊とは異なる科の昆虫で、人を刺したりはしません。ネムリユスリカはアフリカの半乾燥地帯に生息しています。幼虫は半乾燥地帯の岩盤のくぼみに出来た水たまりで生活しています。降雨量の少ないこの地域で、水たまりが干上がると幼虫もカラカラに乾燥して代謝活動が完全に停止します。この無代謝休止状態でネムリユスリカの幼虫は次の降雨まで乾燥した状態で生存し続け、次の雨が降ると、吸水し短時間のうちに蘇生するのです。
 このような完全に乾いても死に至ることなく復活できる性質を、クリプトビオシスといいます。約一万種も存在するユスリカの類。その中でこの能力を持っているのはただ一種、それがネムリユスリカというわけです。

特別な能力・クリプトビオシス
 クリプトビオシスとは無代謝の休止状態であり、水分が与えられない限り半永久的に眠り続けることができます。17年たった乾燥したネムリユスリカの幼虫を水に浸けたら、蘇生したという記録もあります。
 乾燥幼虫のすごい能力はこれだけではありません。 なんと、乾燥状態の幼虫は-270℃や100℃などの極限温度にも耐えることができるのです。また、頭部を除去して乾燥させた幼虫でも蘇生するので、脳は関与しておらず、細胞や組織が自律的にクリプトビオシスに入るのだそうです。

乾燥研究の応用

 ネムリユスリカの乾燥時の極限環境への耐性もさることながら、その高い保存能力は現在、世界に発信されつつあります。
 例えば医学。高い保存能力は人の臓器の長距離長時間運用を可能にします。現に、人間の血小板の常温乾燥には成功しています。核のある細胞の赤血球や白血球などでは成功していないものの、臓器保存法への発展が期待されます。
 他にも、食べ物を乾燥させ半永久的に保存することが出来るようになれば普段の生活も便利になるでしょう。将来は冷蔵庫ではなく、乾燥庫が普及しているかもしれません。
 また、人だけでなく魚の餌などにも活用できます。ネムリユスリカは乾燥保存を経て魚類の口に生の新鮮な状態で届きます。魚の寿命より消費期限の長いエサ・・・・・何か皮肉なキャッチフレーズに聞えますが、実用性は高そうですね。

 無限の可能性を秘めたゾンビ生物、ネムリユスリカについて興味を持っていただけたでしょうか?虫好きな人は勿論、嫌いな人も、ネムリユスリカの復活をぜひ見に来てください!

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