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海洋に突然現れる巨大な波・フリーク波の謎に迫る

海洋に突然現れる巨大な波・フリーク波の謎に迫る
第3部(14:30~16:00) 講座番号11
光易恒(海洋物理学者、九州大学名誉教授)


 1929年広島県生まれ。昨年まで九州大学名誉教授として世界中で波の研究をされていた。1988年、日本で初めてアメリカ気象学会のスベルドラップ賞金メダルを受賞された。

フリーク波とは
 よく晴れたおだやかな海を航海中、前ぶれもなく海面が盛り上がり(大きな波が発生するには因果関係があるのだが)船の前方に“大きな波の壁”ができる。航海中、嵐でもないのに突然現れる高波は、“船乗りの迷信”とされ、恐れられてきた。大型船も沈没させるこの波がフリーク波である。長年、フリーク波は研究の対象になっていなかった。

なぜ、近年まで研究対象になっていなかったのか?
 1995年1月、北海油田に設置されていた高精度な波高計が、11メートルの波が打ち寄せる中で、突然2倍の25.6メートルの波を記録した。この波の発見によって、突然現れる巨大波“フリーク波”の研究がされるようになった。
 古くから巨大波の存在が知られながら、研究されるのに時間がかかったのには理由がある。波の高さは船員の目視で計られることが多かった。また、海面上で波高計を浮かべて測定する場合も波高計が動くため精度が低かった。そのため、異常に高い波が記録されても、“間違ったデーター”として無視されてしまったのである。その一方で、北海油田の波高計は空中に固定されていたため、正確なデーターが観測できたのである。

フリーク波はどのように発生するのか。
 フリーク波とは「普通の高さの2倍以上の高さを持つ孤独した波」のことであり、どうしてできるのか特定できないが、いくつか考えられる。そのひとつに、2つの方向から来た波が出会い、重なって2つの合計の高さになる。もうひとつが、光易先生が研究されている出来方である。海には無数の波が行き交っている。海で見られる複雑な海面の模様は、さまざまな大きさ・向きの波が重なりあってできている。そして、重なっているだけでなく、互いに影響を及ぼす。さらに、大きな波は速く進むため、小さい波を飲み込み、さらに大きくなり、さらに速く進む。そのため、これらに要因がいくつか重なって起きたとき、とても大きな波が発生するのだ。

フリーク波によってタンカー“尾道丸”は沈んだ。
 1980年12月30日、尾道丸はアメリカから帰る途中、千葉県房総半島の最南端・野島崎沖でフリーク波に襲われた。野島崎沖は大型船が10年間で数十隻沈んだところである。そこでは、寒流の波、暖流の波、風でできる波が出会うところであるため、非常に大きな波が起きやすいのである。事故当日は晴天で、高さ約5メートルのやや高い“うねり”と呼ばれる波が船の進む方向からやってきていた。尾道丸はうねりをよけながら航行していたが、正面の海面が盛り上がり、山のような波が尾道丸の行く手に現れた。尾道丸はこの大きな波をよけることができず、波に乗り上げて、船首が空中に飛び出し、船全体がシーソーのように傾き、船首が海面にたたきつけられた。尾道丸は石炭約5万トン積んでいたために、コンクリートにたたきつけられたような大きな衝撃を受けた。数時間後、波にもまれるうちに船首がちぎれ、残った船体も沈んでしまった。
 幸いにも、「尾道丸」の前方を航行していた鉱石運搬船「だんぴあ丸」が引き返し、81年1月1日、「尾道丸」乗組員29名は全員無事救助された。

光易先生は九州大学を昨年引退され、研究者としてどうでしたか?
 もともと頭がよいほうでなく、よくも研究者になれたもんだと思っている。高校生のときに研究者になりたいといってならしてもらった。自分のわりに、よくもここまでできたとまあまあ満足している。
 広島の山の中の出身で、戦争中、爆弾を小さな島に疎開させるために船に乗り、初めて海見た。海を見て感動したことが、私を波の研究者にした。これからは本を出版したり、講演したりしたいと思うね。

 当日はフリーク波を中心とした波の話をしてもらいます。フリーク波と普通の波の関わりあい、フリーク波の性質など普段聞くことのできない話しが盛りだくさんです。少しでもフリーク波に興味を持った方、研究者に興味のある方は来てください。

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